Interview ニットアーティストSEi

現在POP UP STOREを開催中のニットアーティストSEiさん。昨年の大井町パレードというファッションショーや、映画への原案提供、アーティストの衣装など、独自の活動を続ける彼女にインタビューを行いました。

ー デザイナーの道を決めたターニングポイントはあったのでしょうか?

元々作るのは好きでした。特に服ということではなく、父親の日曜大工を手伝ったり、とにかく手を動かすことが好きでした。

大きなきっかけは、小学生の時にテレビで見たデザイナーの特集です。正直に言うと、その頃いじめの対象になっていて、でも負けず嫌いでというのがあって。その番組のラストシーンで、ランウェイでデザイナーが軽くおじぎをして、観客の拍手が鳴り止まない状態をみて、これだ!って思ったのを覚えています。

本当にそのワンシーンしか記憶に無いのですが、これなら同じ場所にいなくても、誰かしら知ってる人が見たら、負かせられるかもと思いました。

バンタンデザイン研究所に入学し、在学中にASIA FASHION COLLECTIONでグランプリを獲得。翌2014年には世界4大コレクションの1つである「New York Fashion Week 2014」にてランウェイを発表しています。

 ブランドのスタートは思い描いた通りでしたか?

ゆくゆくはブランドはやりたいと思い、色々なブランドにインターンにも行っていました。就職も考えていましたが、3年生の時にNYでのショーが決まって、卒業してからもツアー形式で台北での発表へと続いていきました。

その年はずっと海外発表が続いて、台北の後にはストックホルムのコンペに応募しました。そのコンペはH&Mが主催で、国ごとに学校が選ばれ、卒業の2年以内のデザイナーしか受け入れないのですが、学校に選ばれたと電話があって、その1週間後には卒業コレクションを持って行きました。結果的には落ちてしまったのですが、既に秋になっていて、そのままブランドをスタートしました。

 ブランドの核であるニット。始めたきっかけや魅力は?

最初は先輩の手伝いで始めました。小学生の時も編んだりしていましたが、何かを作るほどではなく、それ以来触っていませんでした。

そこでまた編み始めて、1年生の修了展で初めて自分の作品に編みを取り入れました。2年生ではパターン科に進みましたが、その時の先生にニットを編める人は少ないから続けたほうがいいと言われて。

学校では、年に4回の課題があり、先生と外部からの審査員が評価して順位が決まります。それまでは生地を使った服を作っても評価されなかったのが、ニットの作品で順位が上がって行って、ニットに特化するようになりました。

ニットの魅力は選ぶことが多いところです。生地も突き詰めればそうかもしれませんが、糸の種類や編み地、色と何本混ぜるかなどで全然表情が変わるので、そこが面白いと思います。逆に今は布帛のデザインは全然思いつかないので、当時の先生には感謝しています(笑)。

 インスピレーションはどこから?

そのシーズンを作る時の、日常の出来事や日々思っていることが元になっています。

ー とても言葉を大事にしている印象があります。

言葉選びは、曲や読んだ文章を参考にしていて、そこから文章化し、ストーリーにしていきます。

言葉を作って、ストーリーにして、撮影をするなら背景がこの感じというのが出てくると、なんとなく人物像が出てきます。デザイン画はほとんど書かないので、実際の作品は材料を見てから作っていきます。

大井町駅にある商店街「東小路飲食店街」とコラボし、モデル達が飲み屋街を練り歩きながらお客さんとお酒を飲み交わし交流する新感覚の参加型ファッションショー「大井町パレード」

 

  製作をしていて感動する瞬間は?

デザイン画も書かず、頭の中で想像したものを手の感覚だけで作っているので、想像と合致した時ですね。

糸の選ぶ種類が多いという話とも通じるのですが、この糸じゃなかった、この針の太さじゃなかったとか、編んでみて失敗というのはよくあります。それが、使いたい糸とデザインが合って、出来上がっても可愛いと感動します。

  今回のテーマ、「あの頃、君は若かった」はどうしてこれに?

昔を思い出すというか、過去を表現することをしたかったので、今回のテーマにしました。いつもはもっと毒がある女性が多いですが、テーマに合わせ、大学生の19歳の女の子でルックを撮影しました。

テーマは、日常で考えることがスタートになっていますが、普段関わっている人や、何年も付き合っている人っているじゃないですか?その人達のことを見てると、何年前はこんな感じで動いてたのに老けたなとか、よく一緒に遊びに行っていたなとか考えることが多くて、今回の思い出や過去という題材になりました。

  ブランドのオリジナル性をどのように捉えていますか?

1点もので、基本的には全て自分で作っています。その人のために編んでいるという感覚なので、選んだものが世界に1個で、持っているのは自分しかいないという特別感を感じて欲しいです。

SEi POP UP SHOP『あの頃、君は若かった You were young in those days. 』
期間:2018/5/21(月)— 6/10(日)
会場:R for D
住所:東京都目黒区駒場1-4-5 B1F
URL:https://rford.deedfashion.com/
INSTAGRAM:https://www.instagram.com/rford.deedfashion/
営業時間:13:00 – 22:00

TEL:03-6407-9320

最寄駅:京王井の頭線・神泉
アクセス:神泉駅 6分、池尻大橋 10分、渋谷駅 16分 (渋谷マークシティー内通路から道玄坂上出口を出て約8分 )

 

ニットアーティスト SEi

”ニットアーティスト”としてあらゆるものを糸で編みこんでいく。

アパレル、衣装、インスタレーションなど幅広い分野で活動。2013年には「Asia Fashion Collection」にてグランプリを獲得。翌2014年には世界4大コレクションの1つである「New York Fashion Week 2014」にてランウェイを発表。

作品は全てSEi自身によるハンドメイド。糸の段階から手染めして編んでゆくことで、ひとつひとつ表情が違う、世界に1つだけの作品を創りあげる。

URL:https://www.sei-y.com/