”壁を持ち歩くカバン” KAGARI YUSUKE(カガリユウスケ)

”壁を持ち歩くカバン”  KAGARI YUSUKE(カガリユウスケ)

革に建築材のパテを塗り、壁のように経年する独特の質感を表現するカガリユウスケ。改めてブランドについてと届いたばかりの最新コレクション「Under Construction」の紹介をします。

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”壁を持ち歩く”というコンセプト
「カバン = 持ち運ぶ空間」「空間を作るもの = 壁」「壁 = カバン」という発想から辿り着いた”壁を持ち歩く”というコンセプト。服よりも身体との適度な距離感があり、形としての制約の少ない”カバン”をメインに、人工物でありながら自然物のような表情を見せる”壁”を作り続けています。

壁の表現にはいくつか種類があり、それぞれに作業や材料が異なります。完成まで多くの工程がありますが、手に届き時間が経つに連れて変化し、よりオリジナルの壁へと進化します。使い込むにつれて現れるツヤや傷も含めて、自分の壁を仕上げるのもカガリユウスケのアイテムの楽しみです。


フレームショルダー ¥34,560

白い壁
最もシンプルで、一番経年変化を楽しめます。工程は、革に建築材のパテを塗り2週間以上乾燥し、裏面にはペンキを塗装します。パターンを切り出し縫製した後、ミシン目をパテで埋めます。それを乾燥させ、エタノールで汚れを除去し、仕上げのニスを塗り、乾燥させて完成です。


ジップショルダーポーチ 黒壁 ¥51,840

黒い壁
工程は白い壁と近いですが、塗料としてアスファルト補填材を採用しています。白い壁とは異なる独特のザラつきは、炭酸カルシウムが混合されているため。なお、ウールなど服の素材によっては引っ掛かりを感じる場合がありますが、使い込むことで磨耗し、適度なツヤと滑らかな表情に仕上がります。


ジップショルダーポーチ 亀裂加工 ¥71,280

亀裂彫り
壁の亀裂を表現するため、1本1本彫り出して描いたシリーズ。白い壁に亀裂を彫り、墨を入れ、余計な墨を洗い、乾燥。縫製した後ミシン目をパテで埋め、パテで埋まった亀裂を掘り起こし、ニスを塗り、乾燥させて完成します。手間がかかる上に、リュックをひとつ彫ると彫刻刀が2本ダメになる。さらに下書き無しの一発勝負という緊張感のある作品です。


壁布トート ドロネースタッズ/白壁 ¥54,000

ドロネー三角形分割
亀裂から派生したオリジナルスタッズ。細かいひび割れが、カーナビの空間分布解析などに使われるボロノイ図に似ていることから、その相対図であるドロネー三角分割を採用。実際に撮影したひび割れ写真からドロネー三角分割図を起こし、スタッズを作成しています。素材は軽さを重視し、亜鉛合金を使用。


巨大なカバン 都市型迷彩 ¥270,000

都市型迷彩
白壁の上に、”ウェザリング”という汚し加工を施したシリーズ。塗料=汚れのできるだけ自然な形、重力に引かれる力や壁の凹凸に寄り添うこと、液体の表面張力が生む柄など、描くのではなく、そういった物事を写し取ることで、汚れの”生感”を表現しています。

壁の写真をプリントした壁布
自身で撮影した壁写真を生地にプリントしたシリーズ。壁アーカイブと名付けたインスタグラムのアカウント(https://www.instagram.com/kagari_yusuke/)には、自身で撮影した全国の”壁”の写真が更新されています。

自然によって経年変化した劣化の美しさ、修繕や改修によって現れた不思議な構図など、壁から想像できる場所の歴史や人々の生活、人間らしさや自然の影響など、壁の魅力は様々ですが普段の街歩きに新たな視点を与えてくれます。


左)フレコントート・壁布 馬喰町 ¥41,040

右)フレコントート・壁布 堀留町 ¥41,040

最新コレクション「Under Construction」
「UnderConstruction」と題し、工事現場から着想を得たコレクション。カガリユウスケの魅力の1つに言葉がありますが、全文は店頭のLook Bookをご覧頂くとして、ここでは一部を抜粋してご紹介します。 

工事現場が好きだ。

腰からぶら下げた工具入れをガシャガシャ鳴らしながら歩く土方のにいちゃん達。
住めるんじゃないかってくらい大きな荷台に大量の資材を積んだトラックの行列。
あっという間に足場が組まれて灰色のシートに覆われるビル。ビルの屋上に組まれたクレーンから吊るされて宙に浮かぶフレコンバッグ。
雨後の筍のように次々とそびえ立っていくビルやマンション。
夜の道路にぽっかりと空いた白い穴のような、工事現場の投光器の光。
この街全体が大きな工事現場なんじゃないかと思うくらい工事現場だらけで、それをワクワクしながら眺めている。

〜一部省略

都市と人も、共生しているんじゃないだろうか。
我々が都市を作っているのではなく、都市が我々に作らせているんじゃないのか。
形は形よりも以前にすでにあって、現実はそれをなぞっているだけなんじゃないだろうか。
自然と人工の境界線なんて、雲みたいな曖昧なものでしかないんじゃないだろうか。

〜一部省略

灰色だ。
人間のやる事は白か黒かで判断できる事なんてほぼなくて、大体いつも灰色だ。 ぼくは、そんなどっちつかずの灰色が好きだ。
そんな灰色のイメージが重なるからだろうか。
工事現場をとても美しく感じてしまう自分がいて、その美しさがぼくの手を動かしてくれる。


左)フレコントート・ウォール ホワイト ¥38,880

右)フレコントート・ウォール ブラック ¥38,880

工事現場のワクワクする感じ、目的のために合理化された素材や資材、出来上がるものと都市と人の関係。「Under Construction」を製作途中と訳しテーマにすることはあっても、工事現場そのものを着想源にしたデザイナーはいたでしょうか。

フレコンバッグや工具入れ、塗装・防炎シートなど、具体的なモチーフを採用しながらも、そこから抽出した色や形の美しさには、やはり独自の目線が注がれています。

壁とカバンという身近な存在に、空間性と時間性という新たな価値を見出したカガリユウスケの作品は、ハンドメイドという製作方法を超え、壁を持ち歩くことへの共感と特別感を感じられます。


フレコントート・スキン 各¥45,360


左)フレコンリュック・ウォール ホワイト ¥99,360

右)フレコンリュック・ウォール ブラック ¥108,000

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